【遺言/Q11】「相続させる」という遺言の効力
父が亡くなり、遺言があることがわかりました。
遺言には、「自宅の土地と建物は長男に相続させる」
と書いてありました。
しかし、この長男は父よりも先に亡くなっています。
父の相続人は、妻と次男である私、
そして代襲相続人である長男の息子です。
長男の息子がこの不動産を相続することができますか?
今回の場合、遺産分割協議より長男の息子に相続させることはできます。
遺言者である父に代襲相続させる意思があったかわからない
場合には、先に長男が亡くなっていることにより、
遺言の「自宅の土地と建物は長男に相続させる」
という部分は効力が発生しません。
この場合、自宅の土地と建物は、
相続人である妻、次男、長男の息子が
法律に定められた割合で相続する(法定相続)か、
遺産分割協議によって、相続する者を決めることになります。
今回の遺言のように、相続人のうちの一人に
遺産を相続させるとする遺言を
「相続させる」旨の遺言と呼びます。
最高裁判所は、平成23年2月22日の判決で、
「相続させる」旨の遺言は、その遺言によって
遺産相続するはずだった人が
遺言者よりも先に死亡した場合には、
遺言者に、先に亡くなった人の代襲者などに
この遺産を相続させたいという意思があった
とわかるような特段の事情がなければ、
「相続させる」旨の遺言の効力は発生しない
としました。
もし、遺言をした後に、事情が変わって内容を
変更したい場合には、変更したい内容を、
もう一度遺言したほうがよいでしょう。
一度「長男に~」と遺言しても、遺言した人よりも
長男が先に亡くなると、当然には孫に相続させる
ことにはならないことに注意が必要です。
遺言を作成する際に、仮に遺言者よりも先に相続人が
亡くなった場合も想定して、「長男が遺言者よりも
先に死亡していた場合には●●に相続させる」等
予備的な文言を入れておくのもよいでしょう。