【相続/Q23】【民法改正】配偶者居住権の設定の登記とはどのようなものでしょうか?
配偶者居住権の設定の登記とはどのようなものでしょうか?
配偶者が取得した配偶者居住権を、第三者(例えば、居住建物を譲り受けた人)
に主張することができるようにするものです。
そのためには、配偶者居住権を取得した建物の所在地を管轄する法務局(登記所)
で登記手続きを行う必要があります。
配偶者居住権の設定登記をしておけば、建物の所有者が第三者に建物を売却して、
建物の所有者が入れ替わったとしても、新しい所有者に対して
配偶者居住権を主張することができ、安心して住み続けられます。
(「対抗要件の具備」といいます。)
しかし、配偶者居住権の設定登記がされないうちに所有者が
入れ替わってしまった場合は、新しい所有者に対して
配偶者居住権を主張することができません。
新所有者からの要求があれば、配偶者は建物から
立ち退かなければならないことになります。
相続人間で争いがあるような場合には、所有権を取得した相続人が、
配偶者を追い出す目的で第三者に売却することも想定されます。
権利を主張するための登記は、登記の先後で優劣が決まります。
権利関係のトラブルを避けるためにも、配偶者居住権を取得
したらできるだけ早く登記手続きをすることをおすすめします。
なお、居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、
配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負っています。(民法第1031条1項)
配偶者は居住建物の所有者に対して、登記手続きに協力するよう
求めることができ、所有者はこれを断ることはできません。
※配偶者居住権の設定登記をする前提として、
被相続人から相続人への相続、遺贈等を原因とする
所有権移転登記が必要になります。