申立後、開始決定となり、その旨が掲載された官報を確認した債権者が個人再生を申し立てたことを知り、債権の届出期間内に債権を届け出た場合には、新たに見つかった債権者を個人再生手続きに加え手続きが進行します。
他方、債権の届出期間内に債権が届けられることなく、手続きが進んだ後に債権者がいることが判明した場合、どのようなことが考えられるでしょうか?
1.債務者が最初から特定の債権者を債権者一覧表に記載しなかったことが意図的であると判断された場合、例えば「書面決議に反対しそうな債権者だから記載しなかった」「親族からの借金だから記載しなかった」という事例
この場合、悪質な「債権隠し」と判断されたときは、再生計画が不認可となり、また、再生計画認可後では認可された再生計画が取り消されてしまう可能性があります。
2.債務者の落ち度で債権者一覧表に記載することを遺漏してしまい、債権届出もされなかった債権の事例
例えば、Aさんは総債務額が500万円だったにもかかわらず、そのうちの100万円を持つ甲債権者を債権者一覧表に載せるのを忘れ、総額400万円として手続きが進行してしまいました。甲債権者はAさんが手続きを行っていることに気づかず債権届出も提出されず開始決定が出されてしまった場合、どうなるでしょうか。
債務者が知っている債権者の記載漏れが発覚した場合で、債権者からの届け出もなかった債権については、一定の条件下で再生計画に含めることが認められています。
ただし、再生計画における最低弁済額を決めるための基礎に含まれないので、債務者にとっても不利益になることがあるので注意が必要です。
個人再生においては総債務額が500万円の場合、通常5分の1まで減額され、最低弁済額である100万円を原則3年かけて返済することになります。
しかし、100万円の債権の記載を遺漏してしまった場合は以下となります。
(1).債務額400万円→100万円(75%減)
400万円の5分の1は80万円ですが、個人再生には最低弁済額というものがあり、100万円と決められているため、最低弁済額の100万円になります。
(2).債務額100万円→25万円(75%減)
認可決定が出た割合「(1)の割合」で減額されます。
(1)+(2)=125万円
Aさんは125万円を返済する必要があります。
個人再生を依頼する場合、事前に必要な書面などを準備して、全ての債権者を忘れずに申告するようにしましょう。
個人再生に限らず債務整理をお考えの場合、まずは相談だけでもかまいませんので、ぜひ芝事務所にご連絡ください。
三浦和弥