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  • 自己破産をすると会社で掛けている確定拠出年金はどうなりますか

     

    Aさんは借金が800万円ほどあり、自己破産を検討しています。

    Aさんは会社員で企業型確定拠出年金に加入しており、あと数年で定年退職をするため、自分の老後の資金のために、会社のかけてくれる確定拠出年金の他に自分でも毎月2万円の確定拠出年金の掛け金を出しています。

    会社の確定拠出年金の運営管理はB銀行が行っており、AさんはB銀行からも借金があります。

    Aさんが自己破産をした場合には確定拠出年金はどうなるのでしょうか。

     

    Aさんは確定拠出年金を60歳以降に受取ることができます。

    確定拠出年金は老後資金の形成を目的とした制度で、60歳以降に、確定拠出年金の規約の定めにより、一時金または年金などの形でお金を受け取ることができます。

     

    個人が破産する場合、破産手続開始時に所有していた財産のうち一定の財産はそのまま破産者の手元に残すことができ、破産者が自由に管理・処分することができます。これを「自由財産」といいます。

    自由財産の中でも、99万円以下の現金や差押えが禁止されている動産(家財道具など)や債権(給料など)は当然に自由財産になります。(破産法第34条第3項)

    確定拠出年金は確定拠出年金法の定めにより(確定拠出年金法第32条第1項)当然に自由財産となり、税金等の滞納処分以外では差押えができない差押え禁止財産とされています。

     

    Aさんが自己破産をしても、確定拠出年金の運営管理を行うB銀行はAさんの確定拠出年金と借金を相殺することはできません。

    Aさんは、自己破産をしても自分の老後の資金である確定拠出年金を守り、60歳以降に受取ることが可能です。

     

    司法書士 永野昌秀

  • 個人再生の申し立て後に新たに債権者が見つかった場合はどうなるのですか?

     

    申立後、開始決定となり、その旨が掲載された官報を確認した債権者が個人再生を申し立てたことを知り、債権の届出期間内に債権を届け出た場合には、新たに見つかった債権者を個人再生手続きに加え手続きが進行します。

     

    他方、債権の届出期間内に債権が届けられることなく、手続きが進んだ後に債権者がいることが判明した場合、どのようなことが考えられるでしょうか?

     

    1.債務者が最初から特定の債権者を債権者一覧表に記載しなかったことが意図的であると判断された場合、例えば「書面決議に反対しそうな債権者だから記載しなかった」「親族からの借金だから記載しなかった」という事例

     

    この場合、悪質な「債権隠し」と判断されたときは、再生計画が不認可となり、また、再生計画認可後では認可された再生計画が取り消されてしまう可能性があります。

     

    2.債務者の落ち度で債権者一覧表に記載することを遺漏してしまい、債権届出もされなかった債権の事例

     

    例えば、Aさんは総債務額が500万円だったにもかかわらず、そのうちの100万円を持つ甲債権者を債権者一覧表に載せるのを忘れ、総額400万円として手続きが進行してしまいました。甲債権者はAさんが手続きを行っていることに気づかず債権届出も提出されず開始決定が出されてしまった場合、どうなるでしょうか。

     

    債務者が知っている債権者の記載漏れが発覚した場合で、債権者からの届け出もなかった債権については、一定の条件下で再生計画に含めることが認められています。

    ただし、再生計画における最低弁済額を決めるための基礎に含まれないので、債務者にとっても不利益になることがあるので注意が必要です。

     

    個人再生においては総債務額が500万円の場合、通常5分の1まで減額され、最低弁済額である100万円を原則3年かけて返済することになります。

     

    しかし、100万円の債権の記載を遺漏してしまった場合は以下となります。

     

    (1).債務額400万円→100万円(75%減)

    400万円の5分の1は80万円ですが、個人再生には最低弁済額というものがあり、100万円と決められているため、最低弁済額の100万円になります。

     

    (2).債務額100万円→25万円(75%減)

    認可決定が出た割合「(1)の割合」で減額されます。

     

    (1)+(2)=125万円

    Aさんは125万円を返済する必要があります。

     

    個人再生を依頼する場合、事前に必要な書面などを準備して、全ての債権者を忘れずに申告するようにしましょう。

     

    個人再生に限らず債務整理をお考えの場合、まずは相談だけでもかまいませんので、ぜひ芝事務所にご連絡ください。

                                            三浦和弥

  • 自己破産をすると国民健康保険はどうなりますか

     

    Aさんは4社から合計500万円の借金があります。

    支払ができなくなり、自己破産を検討しています。

    Aさんは国民健康保険に加入していますが、国民健康保険料を滞納しています。

    自己破産をした場合、Aさんの国民健康保険にどのような影響があるのでしょうか

     

    国民健康保険証が使えなくなることはありません。

    自己破産をしても健康保険には継続して加入し続け、利用することができます。

    Aさんの健康保険証が使えなくなるということはありません。

     

    健康保険の滞納分は支払う必要があります。

    Aさんが自己破産をし、免責許可決定を受けると借金の支払い義務は原則としてなくなりますが、健康保険料は税金と同じように支払い義務があり、健康保険料の滞納分は免責の対象になりません。(破産法第253条第1項ただし書1号)

    国民健康保険は毎月の支払い期日があります。期限を過ぎても支払いができない場合、延滞金も発生します。

    Aさんは免責許可決定を受けても、滞納分と延滞金全額を支払う必要があります。

     

    やむを得ない理由で健康保険料の支払いができない場合は、減額や免除などの軽減措置が受けられる場合もあるので、早めに市町村役場の窓口で相談してみましょう。

    静岡市にお住いの方はこちら

     

    司法書士 永野昌秀

  • 自己破産をしたら銀行口座はどうなりますか

     

    Aさんは総額800万円程の借金があり、返済ができないため自己破産をするつもりです。

    借入先には銀行のカードローンもあり、借入先の銀行は給料の振込先口座になっています。

    Aさんが自己破産をした場合、銀行口座にどのような影響が出るでしょうか。

     

    銀行のカードローンなどを利用している場合は口座が凍結される可能性があります。

    銀行の口座が凍結されると、一定期間口座から引出しができなくなります。銀行はAさんの口座に残高がある場合、Aさんの預金残高とカードローン残高を相殺することで回収をはかろうとします。

    給料等の収入が、カードローンなどの借入のある銀行の預金口座に振り込まれる予定がある場合には、相殺されたり、引出し不能とされないように、振込先を変更するなどの対応をする必要があります。

     

    借入れのない金融機関との取引は、自己破産をしても、借入れができないことを除いて制限を受けませんので、新規に口座を作り、給料振込口座に指定したり、公共料金等の引落し口座にすることも可能です。

     

    クレジットカードなどの自動引落口座になっている場合

    自己破産では全ての債権者を平等に扱うことが求められます。

    クレジットカードの自動引落としで、特定のカード会社の借金だけ返済することは、不公平な返済をすることにあたり免責不許可事由に該当します。破産手続きに影響が出ますので、自動引き落としを解約するか、引落しがされないように口座の残高を調整するか、口座そのものを解約するなどの対応をする必要があります。

     

    借金の中に銀行のカードローンがあり対処方法がわからない場合は当事務所にご相談ください。

     

    司法書士 永野昌秀

  • 連帯保証人になっている場合でも、相続放棄をすれば借金の支払い義務を逃れることができますか

     

    Aさんの父親は最近亡くなりましたが、借金が1000万円ほどあり、Aさんはその連帯保証人になっていました。

    Aさんは相続放棄をすることで借金の支払い義務を逃れることができるでしょうか。

     

    Aさんが亡父の借金の連帯保証人の場合、相続放棄をしても借金の支払い義務はなくなりません。

    相続放棄をすることで債務を相続することは無くなりますが、連帯保証人としての支払い義務は残ります。

    Aさんが連帯保証人としての支払い義務を逃れるためには、自己破産などの債務整理手続きを検討する必要があります。

     

    自己破産をする場合でも相続放棄をする必要がありますか。

    Aさんの亡父が税金等を滞納していた場合、納税義務が相続されることになります。滞納した税金等は自己破産しても支払い義務が残ります(非免責債権)。

    Aさんは相続放棄をすれば支払い義務がなくなります。

     

    相続放棄は、原則として自己のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内にしなければなりません。

    相続した財産のうち、マイナスの財産がプラスの財産を上回ることが明らかな場合は、まずは相続放棄を検討し、保証債務など相続放棄で対応できない借金について自己破産などの債務整理手続きを検討するのが良いでしょう。

     

    亡父の債務が住宅ローンのみの場合

    住宅ローンを利用する場合、多くの場合団体信用生命保険に入ります。

    団体信用生命保険は、住宅ローンの返済中に債務者(借り主)が死亡した場合、残った住宅ローンが保険金により一括返済される保証制度です。

     

    亡父の借金が住宅ローンのみで、団体信用生命保険に入っている場合、Aさんには住宅ローンの支払い義務は残りません。

     

    相続財産の中に借金があり対応がよくわからない場合には当事務所にご相談ください。

     

    司法書士 永野昌秀

  • 債務整理をすると保証人(連帯保証人を含む)になれますか?

     

    債務整理をすると基本的に保証人(連帯保証人を含む)になれません。

     

    債務整理が開始されると、信用情報機関に法律家が介入した記録が残り、銀行などの金融機関や消費者金融などの貸金業者は審査を行う場合に、この個人信用情報を参照するため、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組んだり、金銭の借り入れをすることができなくなります。

     

    このことは保証も同じで、ローンを組んだりする際には契約者だけではなく、保証人に対しても信用調査があるため、契約者の信用情報と保証人になろうとするものの個人信用情報が参照されます。

     

    よって、ここで保証人が過去に債務整理をしており、そのことが記録されていると約5年~10年間は保証人の審査に通らなくなってしまいます。

     

    もし債務整理中に保証人や連帯保証人になってくれと言われた場合はすぐに断るべきであり、債務整理が終了した後でご自分の信用情報の記載内容を確認したい場合には信用情報を取り寄せることが出来ます。

     

    なお、例外として賃貸アパートやマンションなどを借りる際の連帯保証人の場合、賃貸借契約の審査の際に、大家さんや不動産業者が個人信用情報を参照することはありません。

     

    信用情報はあくまで借り入れに関する信用情報であり、不動産の賃貸借とは無関係だからです。

     

    このように債務整理をすると一部の例外を除いて長期間保証人にはなることができず、例えば子供の奨学金の連帯保証人などにもなれませんので、他の親族に頼むなど、配慮が必要な時もあるかもしれません。

     

    保証に関する事だけではなく、債務整理をすると色々なデメリットの部分があり、そういった部分も含めてご説明いたしますので、債務整理を考えている方は是非芝事務所へご連絡下さい。

                                  三浦和弥

  • 寒くなる前に行っておきたいところ

     

    こんにちは!大石です。

    ハロウィンが終わったかと思えば、呉服町の通りはすでにサンタさんの飾りつけが始まっています。

     

    いやー今年もクリスマスか…早い!

     

    コロナの流行がいったん落ち着きましたので、最近は車で少し遠いところに出かけています。

    マイブームは北杜市の清里にある、「萌木の村ROCK」というカレー屋さんです。

     

     

     

    特徴はカレーのプレートに野菜サラダが乗っていることと、隠し味にいちごジャムやレーズンバターが使われていることです!

    この写真はオプションで辛口ソーセージをつけたものです。

     

    因みに家族は私が仕事に行っている間に毎週出かけて食べに行ってしまうくらい、このカレーにハマっています(笑)

     

     

    もちろん、コロナ対策も万全です!

    すべての席にパーテーションがついており、メニュー表は置いておらずスマホでQRコードを読み込んで注文するようになっています。

     

    静岡から清里だと有料道路の区間が途中にありますが、それを利用してでも行く価値のあるお店だと思います!

     

    寒くなって路面が凍結してしまう前に、ぜひ!

     

  • 自分に返せないほどの借金を相続してしまった場合、自己破産するしかありませんか

     

    Aさんは先日父親を亡くしましたが、父親には600万円ほどの借金があることがわかりました。父親には財産といえるものはなく、借金だけが残った状態です。相続人はAさんの他にいません。

    Aさんは自分の生活もあるため、600万円の借金を支払うことは難しいと感じています。

    Aさんは父親の借金の返済ができない場合、自己破産をするしかないのでしょうか。

     

    Aさんは自己破産ではなく、相続放棄をすることで返済をする必要がなくなります。

    相続が起こると、相続人は預貯金等のプラスの財産も、借金等のマイナスの財産も全て相続することになります。

    Aさんは唯一の相続人であるため、相続をした場合、父親の残した借金を返済をする義務を負うことになります。

    借金を相続したくない場合には、家庭裁判所に相続放棄を申立てましょう。

    相続放棄が認められればAさんは最初から相続人ではなかったことになるため、父親の借金の返済義務がなくなります。

     

    相続放棄をする場合の注意点。

    ① Aさんは原則として相続開始があったことを知った時から3ヶ月以内に申述を行う必要があります。

    ② Aさんが相続財産を隠したり処分してしまったなど、一定の場合に相続を承認(単純承認といいます。)したものとして相続放棄をすることができなくなる場合があります。

    なお、交換価値のない物の形見分け、相続財産による葬儀費用や治療費の支払いなどは単純承認にはあたりませんが、父親の借金を相続財産から支払う場合は「処分」にあたる可能性があるので注意が必要です。

     

    相続財産の中に借金があり対処方法がわからない場合には当事務所にご相談ください。

     

    司法書士 永野昌秀

  • 友人への借金を返済するため自己破産申立前に車を処分しても良いですか

     

    自己破産申立予定のAさんは、消費者金融やクレジットカード会社に合計600万円、他にも友人のBさんに80万円の借金があります。

    Aさんの財産は自動車(ローン完済済、査定額100万円)のみです。

     

    Bさんが「急にお金が必要になったため、貸したお金を返してほしい」と言ってきました。Aさんは、Bさんに迷惑をかけられないので、自動車を売って弁済しようと考えています。

    Aさんが自己破産前に車を処分して、Bさんへ弁済することは問題ないのでしょうか。

     

    偏った返済は免責不許可事由に該当します。

     

    自己破産では全ての債権者を平等に扱うことが求められます。

    車を売却したお金で、Bさんの借金だけ返済することは、不公平な返済をすることにあたり免責不許可事由に該当します。破産手続きに影響が出ますので、自己破産前の車の処分および返済は行わないでください。

     

    なお、自己破産申立前に処分していけないのは車に限りません。

    その他価値のある財産を処分した場合でも、破産申立の際に過去2年以内に処分した20万円以上の財産について裁判所に報告する必要があります。

     

    仮にBさんが返済を受けた場合、後に80万円の返還請求を受ける可能性があります。

    AさんがBさんに返済をした時に、Aさんが支払いが出来ない状態だった又は破産申立したことをBさんが知っていた場合、破産手続開始決定後に、Bさんは破産管財人(Aさんの財産を適切に管理して、債権者に平等に配当する義務があります)から、車の売却代金から受け取った80万円の返還請求をされる可能性があります。

    これではBさんに二重に迷惑をかけることになりかねません。

     

    借金の返済にお悩みの方は、財産の処分をする前に一度当事務所にご相談ください。

     

    司法書士 永野昌秀

  • ネットショッピングで買った商品、クーリング・オフできる?

     

    みなさん、こんにちは。司法書士の岡村です。

    もう11月。クリスマスケーキの予約のポスターを見かけると、もうそんな季節かと驚いてしまいます。

     

    さて、前回までの私のブログでは、クーリング・オフについてご説明してきました。

     

    ところで、みなさんは次のような経験がないでしょうか。

    ネットショッピングで買った商品、ホームページでみたらすごく気に入ったのに、いざ届いてみたら思っていたのと違う・・・

    こんなとき、クーリング・オフできるのでしょうか。

     

    結論としては、クーリング・オフはできません。

    クーリング・オフはどんな契約にも適用されるわけではなく、「特定商取引に関する法律」においてクーリング・オフの定めがある契約に対してのみすることができます。

    そしてネットショッピングなどの通信販売は、クーリング・オフの対象とされていません。

     

    その代わり、「法定返品権」という権利が認められています。

    「法定返品権」とは、商品の引渡しを受けた日から8日間は、売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除をすることができる権利です(特定商取引に関する法律15条の3)。

     

    しかし、「返品できるんだ!よかった~」と安心するのはまだ早いです。

    この「法定返品権」、クーリング・オフと似た制度ではありますが、注意点があります。

     

    まず、返品のために必要な費用は購入者が負担する必要があります。

    (クーリング・オフでは販売業者が負担します。)

     

    そしてもう一つ、返品等について、販売業者が決めた特約を広告に表示し、かつ、申込みの操作をする画面(最終申込み画面)にもその特約を表示している場合には、その特約が適用されます。

     

    たとえば、そもそも返品不可とすることもできますし、返品するための条件(例:開封後は返品不可、商品到着後〇日以内のみ返品可、など)をつけることもできます。

     

    通信販売を利用する際は、商品を吟味するのはもちろんのこと、返品についての特約の記載もしっかり確認するようにしましょう。

     

    司法書士 岡村浅黄

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