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  • 外国人の破産:費用が支払えない場合どうしたらよいですか。

    Aさんは日本に住んでいますが、国籍は外国です。
    借金の返済ができなくなり、自己破産を検討していますが、費用を支払うことができないのではないかと悩んでいます。
    外国人の方が自己破産の費用が支払えない場合どうしたらよいですか。

     

    法テラスの民事法律扶助は外国人の方でも利用することができます。
    法テラスは、経済的な理由などで弁護士・司法書士などの法律の専門家に相談ができない場合に、法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられるよう、総合法律支援法に基づき設立された法務省所管の公的な法人です。

     

    法テラスの行っている事業に、民事法律扶助制度があります。
    民事法律扶助は、経済的に余裕のない方などが法的支援を必要とする場合に、無料で法律相談を行い、必要があれば弁護士・司法書士の費用等の立替えを行います。

     

    民事法律扶助を利用する場合
    ・法テラスと弁護士・司法書士の専門職、利用者との間に3者契約を結びます。
    ・法テラスが弁護士・司法書士の費用を立替払します。
    ・法テラスが立替えた費用を、利用者は月々一定額(5000円~1万円)ずつ分割して償還(返還)していきます。
    こうして、経済的な理由により、法的支援を必要とする人たちを援助します。
    (自己破産申立時に裁判所に支払う予納金は、原則として立替払いの対象になっていないため、別途用意する必要があります。)

     

    援助の対象者は、日本人又は日本に住所を有し適法に在留する外国人個人の方で、収入や資産が一定の基準を超えていない方です。
    (自己破産の場合、その他の要件として、免責許可を得られる可能性があることなどが要件になっています。)

     

    法テラスの費用立替の要件についてはこちらを参照して下さい。

     

    なお、Aさんが本国でも借金をしており、本国でも破産手続きが必要になる場合などには、援助が受けられない可能性があります。

     

    司法書士 永野昌秀

  • 【求人】事務スタッフ募集します

    当法人ではスタッフのお誕生日にケーキでお祝いしています
    2月は誕生日のスタッフが多く、いろいろな種類の
    ケーキが食べられました

     

    さて、当法人では事務スタッフを募集中です。
    募集はパート社員(正社員登用制度あり)で時短勤務にも相談に応じます。

     

    詳しくは採用情報に記載してありますので、ぜひチェックしてみてください

    一緒にケーキを食べましょう~!
    ご応募お待ちしております。

     

     

     

  • 「消しゴム貸して!」も契約?

     

    みなさん、こんにちは。司法書士の岡村です。
    ようやく暖かくなってきましたね。これから駿府城公園付近は、桜とお祭りでにぎやかになります。

     

    さて、今日は身近な契約に関するお話です。
    学生の頃、こんな場面がありませんでしたか?
    A「ちょっと、消しゴム貸してくれない?」
    B「いいけど、使い終わったらすぐ返してね。」
    A「わかったよ。」
    何気ない日常のやりとりですが、実はこれも契約です。法律用語では「使用貸借」といい、民法第593条に次のとおり規定があります。

     

    「使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。」

     

    少し難しいですが、上の例でいうと、「当事者の一方」とはBさん、「相手方」とはAさんです。Bさんの「消しゴムを貸す」という約束とAさんの「使ったら返す」という約束により、使用貸借契約が成立した、ということになります。

     

    ところで、条文中に「契約が終了したときに返還をする」とありますが、いつ契約は終了するのでしょうか。それは民法の別の条文(第597条)に規定があります。

    1.期間を定めたときは期間満了時

    2.期間を定めず、使用収益の目的を定めたときは、その目的          に従った使用収益を終えた時

    3.借主が死亡した時

     

    上の例には、2.が当てはまるでしょう。
    今回の場合、Aの使用目的が言葉として発されているわけではありません。
    しかし、通常、消しゴムを借りるときは、Aが書き損じた字を消すことが目的であるとAもBも認識しているものと考えられます。よってAがその目的を達成した時に、借りた消しゴムをBに返す義務が発生することになります。

     

    なお、借りるときに賃料を支払う約束になっている場合には、「賃貸借」という別の契約になります。「賃貸借契約」の方が、みなさん聞き馴染みがあるかもしれませんね。

     

    法律には、日常のさまざまな行為について規定があります。
    難しい法律も、日常に当てはめてみるとおもしろいですね。

     

    司法書士 岡村浅黄

  • 外国人の破産:難しい日本語がわからない場合、どこに相談したらよいですか。

     

    Aさんは日本に来て5年程経ちます。
    借金の返済ができなくなってしまったので、誰かに相談したいと思っています。
    Aさんは日常会話は問題ありませんが、法律用語などを使った日本語は理解できるか自信がありません。
    難しい日本語がわからない場合、どこに相談したらよいですか。

     

    法テラスで外国語での無料法律相談を受けることができます
    日本に住所があり、適法に在留している方で、かつ収入の一定の要件に該当する経済的に余裕のない方に対して、弁護士・司法書士などの無料法律相談を受ける際に、WEB会議システムを利用した通訳サービスが実施されています。

     

    このサービスを利用すれば、外国人の方が相談担当者(弁護士・司法書士)と相談をする際に、ネットを通して通訳を介して相談ができます。
    対応言語は10か国語(英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語、ネパール語、タイ語、インドネシア語です。2022年2月現在)です。

     

    利用にあたっては予約が必要です
    利用時間は土、日、祝日を除く朝9時から午後5時までです。
    まず、法テラス多言語情報提供サービス(0570-078377)に電話をかけて、オペレーター(通訳の人が出ます)に問い合わせ内容を伝えます。
    日本のどこからでも電話はつながりますが、外国からの電話はつながりません。
    オペレーターが、相談希望者の最寄りの法テラスの職員につなぎ、オペレーターと相談希望者、法テラス職員で話合い、予約希望日時を聞取りします。
    翌日、再度上記電話番号に電話すると相談日時が伝えられ、実際の相談に至ります。

     

    外国の方で法律に関する相談などは、自分の言語で相談しないと不安だなと感じる方には利用していただきたいサービスです。

     

    法テラス多言語情報提供サービスについてはこちらをご参照ください。

    司法書士 永野昌秀

  • 日本に住んでいれば外国人も自己破産できますか

     

    Aさんは借金の返済が厳しい状況です。
    Aさんは日本に在住していますが、国籍は外国にあります。
    日本に住んでいれば外国人も自己破産できるのでしょうか。

     

    外国人の方でも自己破産は可能です。
    自己破産は破産法という法律に基づく制度です。
    破産法には、「外国人は、破産手続及び免責手続において日本人と同一の地位を有する」という旨の規定があります。(破産法第3条)

     

    外国人の方でも、日本人と同様に自己破産の申立てをして、借金の支払い義務の免除を受けることができるということになります。

     

    日本国内に住所等があることが必要です。
    外国人が自己破産の申立てをする場合には、日本国内に住所、居所又は財産を有するときに限りすることができる(破産法第4条1項)とされています。

     

    旅行者やホームステイをしている外国の方は対象外ということになります。

     

    破産申立にあたって住民票が必要です。
    破産申立にあたっては、人物の特定や申立裁判所を決定する際に資料として住民票の添付が求められているため、住民票を入手する必要があります。

     

    一定の外国人については、日本人と同様に住民票が発行されます。
    住民票が発行される外国人の要件は以下の通りです。
    ・中長期の日本滞在者(在留期間が3か月以上)
    ・入管特例法によって定められる特別永住者
    ・一時庇護許可者又は仮滞在許可者
    ・出生または日本国籍を失ってから60日以内の人
    これらの要件を満たす方は、日本人と同じように市町村役場で「住民票」を発行することができますので、容易に入手することができます。

     

    司法書士 永野昌秀

  • オートローンを債務整理の対象にすると、車はどうなってしまいますか?

     

    オートローンの完済前に債務整理の対象にすると、車を引き上げられてしまう可能性があります。

     

    毎月の各種支払いの中で、オートローンを支払い続けている方も多いと思います。

     

    もし、債務超過となり債務整理を検討した場合、オートローンを債務整理の対象にすると車を引き上げられてしまう可能性があります。

     

    これは「所有権留保」と呼ばれ、担保として車の所有名義をローン会社にしておき、途中で滞納された時にローン会社が車を引き上げて売却できるようにしているためです。

     

    この所有権留保がついている場合、車検証の「所有者」が自分ではなくローン会社名になっています(自分は使用者になります)。
    ただし、車検証の所有者が自分になっていても、契約上は所有権留保がついている場合もあるので注意しなければなりません。

     

    車がないと生活や仕事上どうしても困る場合、オートローンを債務整理の対象から外す必要があります。

     

    個人再生や自己破産は裁判所を介して行われる手続きであり、すべての債権者を対象としなければいけませんので、オートローンを除外することはできないですが、任意整理では、オートローンを債務整理の対象から外し、車を使用しながら残りの借金を返済していくことができます。

     

    しかし、任意整理ではオートローンと任意整理の対象となった返済金などを、毎月返済していける資力があることが要件であるため、この要件を満たせなければ利用できないことになります。

     

    もし、オートローンを支払っていて任意整理をお考えの場合、収入や債務状況次第では車を残せる場合もありますので、是非芝事務所にご相談ください。
    その他、個人再生や自己破産の相談も受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
     

    司法書士 三浦和弥

  • 自己破産で遺産分割協議が問題となった事例(2)

     

    前回は、遺産分割協議を取り消された事例を紹介しました。今回は取り消されなかった事例を紹介します。

     

    Aさんは平成21年7月に父親を亡くしました。
    母親はすでに亡くなっており、相続人はAさんと弟の2人でした。
    Aさんと弟は平成22年1月に、亡父を被相続人とする遺産分割協議を行い、Aさんが取得した財産は約2億円、弟が取得した財産は約2600万円でした。

     

    その後、平成22年5月頃に弟は、弁護士に債務整理を委任し、支払を停止しました。平成23年6月、弟の破産手続開始決定がされ、破産管財人が選任されました。

     

    破産管財人はAさんに対して、遺産分割協議のうちAさんの法定相続分(今回の場合は財産の2分の1)を超えて取得した部分が、破産者の支払い停止(平成22年5月)の6か月以内にした詐害行為(債権者を害する目的で財産を減らした)に当たると主張して、否認権を行使(減った財産を破産者に戻すように請求)するとともに、超過取得部分相当額の約9256万円の支払請求の訴訟を提起しました。

     

    この事例について、平成27年11月9日の東京高裁は、
    ・相続人には「遺産分割自由の原則」があるため、基本的にはこれが尊重されるべきである。
    ・遺産の分割は一切の事情を考慮して行われるものである。
    ・破産者が遺産分割協議によって少額しか相続財産を取得しなかったとしても、一切の事情を考慮した結果かもしれないため、詐害行為だと直ちに認めることはできない。
    ・相続人が将来遺産を相続するかどうかは、相続開始時の遺産の有無や相続の放棄によって左右される極めて不確実な事柄のため、相続人の債権者が債務者に相続を期待するのは不適当である。
    ・遺産分割協議は原則として無償行為(破産者が自己の財産を無償で他人に上げてしまうこと)には当たらない。ただし、遺産分割を口実にして、債権者を不当に害する財産処分であると認められるような特別の事情があるときは、否認(破産者から財産を受取った者に対して返却を求める)の対象にあたる可能性がある。
    と判断しました。

     

    判決に至るまでには具体的な事情が詳細に検討されます。
    今回の事例については、債権者を害する意図により遺産分割協議が行われたのではなく、相続に関する一切の事情を考慮して遺産分割協議が行われたと判断されたため、遺産分割協議は取り消されませんでした。

     

    これに対し、前回の事例では債権者を害する意図が強いと判断されたため、遺産分割協議が取消されることとなりました。
    (前回の事例については「自己破産で遺産分割協議が問題となった事例(1)」を参照してください)

    司法書士 永野昌秀

  • 【司法書士向け】調停センター”ふらっと”新人研修2022~遺産分割調停に強い司法書士になろう~

    *感染対策を万全にして開催しています*
     
     
    2022年2月13日(日)10時から17時
     
     
    静岡県司法書士会調停センター”ふらっと”にて、
    令和3年度合格の新人司法書士の皆さんに向けた
    研修会を開催しました
     
     
    今年は10名の参加でした
     
     
    今年からプログラムを一新し、遺産分割調停を題材に
    ロールプレイや議論を通じて、
    ふらっとの調停・自身のコミュニケーション・相談等について
    体験し感じ考えてもらいました。
     
     
    「コミュニケーション」アレルギーの皆さんは毎年いて、
    「座学で法的な知識を教えてもらえないと価値がない」
    「そんなことは教わらなくてもできるから意味がない」
     
     
    と言っている人もいます。
     
     
    いろいろな価値観がありますので、それはそれで
    何も言うことはありませんが、
    少なくとも私は今後より良い紛争解決手段として
    ふらっとの活動が役に立つと思いますし、
    またこのトレーニングを通じて得たことが自分自身の仕事にも役立っています。
     
     
    少しでも新人の皆さんに伝わっていたらいいな。

     

  • 買い足しました

    みなさん、こんにちは!

     

    生まれも育ちも静岡で、

    はんぺんといえば黒はんぺんを連想してしまう、見城です。

     

     

    はい、今回の富士山です。

    雲が邪魔してますね。

     

     

    静岡県は、本州の中でも温暖であることが特徴としてあげられ、

    そのせいか、県民性も「楽天的で穏やかな性格」と言われることが多いような気がします。

    (う~~ん???)

     

     

    1年を通して多くの観光客が訪れる観光地も多い静岡県は、テストマーケティングの対象になることもあるみたいですね。

    日本の真ん中的な位置にあるからか平均的な感覚は、、、あるのかもしれませんね。

     

     

    そんな南国的性格で穏やか(?)な静岡県で生きてきました私ですが、

    常々、気にしている事があります。

    それは地震・防災です。

     

     

    「静岡県は、もうすぐ必ず大きな地震が来る!」と刷り込まれるように教えられ、

    現に子供の頃は1年に何回か小さな地震が起きていて、「あ、まただ」って感じで、

    あんまり特別な出来事ではありませんでした。

     

     

    「時々小さな地震が来てるんだから、大きな地震は来ないでしょ?」なんて勝手に思ってました。

     

    小学生の頃から防災訓練を淡々とこなし、

    どう動けば早く避難できるとか、地震ってこういう物なんだって実感無い感じで生きてきました。

     

    ところが最近は、とてつもなく大きな地震ばかりじゃないですか。

    それも静岡県以外で。

    子供の頃の小さな地震とは比べ物にならない位大規模な地震ばかりです。

     

    これではもう穏やかではいられません!

     

    避けられない不可抗力に、どう備える事が出来るのか気になる訳です。

    今回は非常食の備蓄として、水を注いで食べるカレーと、わかめご飯、ビスコ、水、飴を買い足しました。カレーは、なじみのお店の味で美味しそうなので食べるのが楽しみです。

     

     

    毎回、賞味期限が切れる前に少しずつ買い足しています。

    保存食は値段がちょっと高めなのも相俟って特別な存在として保管されがちですが、

    うっかりしていると賞味期限が切れてしまいます。

     

    何回かの賞味期限切れという苦い経験の末、

    「普段食べたくない物は、災害時はストレスMAXでもっと食べたくないと思うから、非常食は普段でも食べたいと思うものが良いんじゃないかしら」という思いに至りました。

     

     

    食べ慣れた物をストックしておいて、普段の料理に使っては買い足して…を繰り返しています。避難生活を送った体験談の中には、「野菜が食べたかった」とあるので、今度は野菜ジュースも買い足そうと思います。それから甘いお菓子も必要です。

     

     

    今回は、備蓄として食料を買い足しましたが、被災後人が生き残るために必要な優先順位は、空気>保温>水>食料と言われているそうですよ。

     

    どこまでいっても「安心」とまではいかないし、言えない物です。

    でも、小さなことかもしれませんが「今、出来る事からコツコツと」備えたいと思います。

     

     

    スタッフ見城

  • 自己破産で遺産分割協議が問題となった事例(1)

     

    相続人の中に破産者がいる場合に、遺産分割協議が問題となった事例です。

     

    Aさんは昭和54年2月に父親を亡くしました。
    相続人はAさん、母親と弟の3人でした。
    相続財産には父親名義の建物がありましたが、相続登記をしないままになっていました。
    母親は平成5年10月に借金の連帯保証人になりました。
    (債務者は、Aさんでも弟でもありません。)
    借金をした当人が平成7年10月に支払を遅滞したため、債権者は連帯保証人である母親に対し、連帯保証債務の履行(借金を債務者の代わりに支払うこと)と未だに亡父名義の建物の相続を原因とする所有権移転登記を求めました。

     

    母親とAさんと弟は平成8年1月に、相続財産の建物について、母親がその持分を取得しないものとして、Aさんと弟の持分を2分の1ずつの割合で所有権を取得する旨の遺産分割協議を成立させ、その旨の所有権移転登記をしました。
    母親は債権者に対して、連帯保証債務を分割して支払う旨述べていたにもかかわらず、平成8年3月に自己破産の申立てをしました。

     

    債権者は、この遺産分割協議が債権者を害するために行った行為であるとして取り消しを求めました。(詐害行為取消権を行使しました。)

     

    上記の事例について、平成11年6月11日最高裁判所は、
    ・共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となりえる。
    ・遺産分割協議は、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができる。
    ・本件の遺産分割協議を詐害行為として取り消すことができるとした原審の判断は正当として是認できる。
    と、判断しました。

     

    破産者が債権者への配当財産を減らすような行為をした場合に、取消を求めることができるのは債権者だけではありません。

     

    破産手続開始決定と同時に裁判所に選任される破産管財人は、破産者が経済的に危機的な状態になって以降に債権者の配当を不当に減らす目的で財産を減らす行為をした場合には、遡って減った財産を返還するように財産を受取った者に対して請求することができます。(否認権といいます)

     

    破産管財人に「債権者への配当を不当に免れるため」に遺産分割協議をしたとみなされると、破産管財人に「否認」される可能性があります。

     

    司法書士 永野昌秀

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