Cさんは、5年前に病気を患い近隣のD病院に入院していましたが、金銭的に困窮していたため、入院費の支払いが困難で自己破産をおこないました。
Cさんは、D病院に再度受診したいと考えていますが、断られるのではないか心配しています。過去の未払いが診療に影響することはあるのでしょうか?
結論としては、医師や医療機関は過去の医療費滞納を理由として診療を拒むことはできません。そのため、CさんはD病院から診療拒否を受けることはないと考えられます。
なぜなら、医師法19条1条は、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定めており、医療費滞納は正当事由に当たらないとされているからです(令和元年12月25日医政発1225第4号)。
では、現在も金銭的に困窮しており再度同様のことが生じる恐れが高い場合はどうすればよいでしょうか。
その場合には、無料低額診療事業や生活保護を利用することが考えられます。
無料低額診療事業は社会福祉法第2条3項に基づく事業で、生活に困窮されている方等を対象に無料もしくは低額で医療行為をおこなう事業です。この事業の対象となる本人資産額や事業対象の範囲などは各医療機関によって異なります。
静岡県内でこの事業をおこなっている医療機関はこちらから確認できます。
この制度についてのご質問や利用申請については、医療機関に直接お問い合わせください。
生活保護は、日常生活全般に困窮している場合に利用するイメージが強いですが、何とか生活はできているけれども医療費を払う余裕がないという場合にも利用することができます。
例えば、収入が1ヶ月12万円で生活費は11万円の場合、医療費が1か月1万円以上必要であれば生活保護の対象となります。
生活保護の申請や相談は、居住されている地域の福祉課が窓口となります。
廣川 祐司