Aさんは借金の返済が不能となったため自己破産の申立を検討しています。
Aさんの携帯電話代金の支払いについてですが、機種代金自体は完済し、携帯代金は毎月決められた期日に支払っており、今までに代金の滞納したことはありません。ただ、月々の携帯代金の支払いの中には通話料以外の費用が含まれています。
自己破産をする場合にキャリア決済を利用すると問題があるのでしょうか。
自己破産をする場合、キャリア決済には注意が必要です。
キャリア決済は、さまざまな物の購入やサービス利用の際に携帯で決済し、代金は毎月の携帯の利用料金と合わせて支払うことができるサービスです。
月の限度額が5~10万円と低く設定されているため、審査がないまま携帯の契約が続く限り利用を継続することができますが、自己破産申立を検討している場合や自己破産申立後に利用する場合は注意が必要です。
電気代金やインターネット通信回線などの支払いについて
最近は電気の小売自由化に伴い、携帯電話会社が電気を販売しているケースもあり、キャリア決済で電気代を払っている場合があります。
自己破産をした場合でも、月々の電気・ガス・水道代金を支払うことは生活に必要な費用として支払が認められています。
電気・ガス・水道以外にも、電気通信役務に関わる契約(携帯電話代やインターネット通信代)を継続して支払い続けることは認められています。
キャリア決済の中でも、電気代金やインターネット通信代金は、そのまま支払いを継続しても問題になる可能性が低いと言えるでしょう。
ネットショッピングなどでの利用について
ネットショッピングの利用は問題になる可能性があります。
キャリア決済では携帯電話会社が代金を立替払いして、利用者が後で支払いをするため、電話利用料の滞納がなくても、ネットショッピングを利用した場合、携帯電話会社を債権者に含めなければならない可能性があります。
その場合、携帯代金の滞納がなくても、携帯会社から回線を強制解約される可能性があります。
また、その代金を支払った場合には、他の債権者に支払えなくなった後に、携帯電話会社だけに偏った弁済をしたことになり、免責不許可事由に該当し、免責を受けられなくなる可能性があります。
司法書士 永野昌秀