Aさんは離婚後、相手方から養育費を受け取ってきましたが、自分と子どもの生活費の不足分を借金で補ってきました。
返済が難しい状況になったため、自己破産を検討しています。
Aさんが自己破産をした場合、養育費をこれまで通り相手方から受け取れるのでしょうか。
自己破産をしても養育費を受け取る権利はなくなりません。
親が自己破産をしたとしても、自己破産手続き開始決定後に受け取る養育費に影響はありません。
破産手続き開始決定後に新たに得た財産は、処分の対象にならないためです。(破産法第34条第1項)
Aさんは自己破産手続き開始決定後、養育費をこれまで通り相手方から受け取ることができます。
養育費を口座振込で受領している場合は注意が必要です。
自己破産手続き開始決定時点で一定の財産がある場合、破産手続き開始決定と同時に破産管財人が選任される管財事件となります。
養育費を銀行預金口座等への振込みで受領している場合、銀行口座に振り込まれた養育費は「預金」という扱いになります。
Aさんが自己破産手続き開始決定時にすでに受け取っていた養育費が貯蓄されており、預金として20万円を超える場合、20万円を超える部分は「財産」とみなされ、原則として破産管財人の管理処分の対象になります。
その場合でも、Aさんは、お子さんとの生活を送るうえで、その養育費が生活上欠かすことができないことを裁判所に申出て、裁判所に認めてもらうことにより、現金を含めて最大99万円までの財産を手元に残せる可能性があります。(自由財産の拡張といいます。)
司法書士 永野昌秀