Cさんには借金が30万円ほどあります。
半年ほど前に体調を崩し勤務先を退職し、その後は失業保険を受け取って生活していますが、借金の返済はできない状態です。体調も回復せず、すぐには就職活動もできないため、生活保護を受けることを考えています。
Cさんは生活保護を受けることになっても自己破産はできるでしょうか。
Cさんの借金は30万円と少額ですが自己破産することができるでしょうか。
1.生活保護を受けていても自己破産は可能です。
生活保護は、経済的に苦しく最低限度の生活を維持できない人に対して、経済的な自立が実現するまでの間の費用を国が支給する制度です。
自己破産は、借金の返済が不能になった方の借金の支払義務を免除して生活再建をするための制度です。
どちらも生活再建のための制度ですので、自己破産をしたら生活保護が受けられない、生活保護を受けているから自己破産ができないということはありません。
2.借金の額が少額であっても自己破産が認められる可能性は高いです。
Cさんの借金は30万円と、一般的に収入がある方にとってみれば少額といえるかもしれませんが、生活保護の受給が認められるほど困窮している場合、裁判所は通常「支払い不能」であると判断するため、自己破産が可能になります。
なお、自己破産の申立てから支払い義務が免除されるまで、財産の無い方向けの同時廃止手続きでも3~6か月程度かかります。
生活保護は申請から認められるまでの期間が原則14日程度です。
(申込者の財産の状況が正確に把握できないなどの特別の理由がある場合は、支給までの期間が30日に延長されることがあります。)
Cさんのように無職無収入の状態が今後継続する可能性が高い場合は、まず生活保護の申請を行い、収入的な困窮を脱してから自己破産を申立てる方が良いでしょう。
また、生活保護を受けながら自己破産をする場合、法テラスを利用すれば自己破産の費用の支払いが猶予・免除される制度がありますので、費用面での負担も軽減されることになります。
司法書士 永野昌秀