Cさんは4社から合計500万円の借金があり、支払ができなくなったため、自己破産申し立てました。
Cさんの財産は現金と預貯金で30万円、他の財産として退職金支給見込額の200万円があります。Cさんは財産があるため管財事件となり、破産管財人が就任しました。退職金見込額のうち、いくらが破産管財人の処分の対象になるのでしょうか。
①破産手続中に退職する予定がある場合
退職金の4分の3は差押禁止財産とされていますので、原則として退職金の4分の3までは破産管財人による処分の対象にはなりません。
Cさんが破産手続中に退職金を受取ることが確実である場合には、原則通り退職金の4分の1(50万円)が破産管財人の処分の対象になります。
②すぐに退職する予定がない場合
Cさんがすぐに退職する予定がない場合、本来なら退職金の4分の1が破産管財人の処分の対象になるところ、裁判所はCさんが将来退職金を受取れない可能性(勤務先の倒産やCさん自身の解雇等)も考慮して、本来(4分の1)の半分である8分の1を財産として評価することとしています。
破産管財人の処分の対象になるのは25万円(200万円×1/8)です。
Cさんは、退職金を受取るために実際に退職する必要はありませんし、破産管財人が勤務先に退職金の前払いを請求することもありません。
①②いずれの場合でも、Cさんの自由財産の拡張(「自由財産の拡張とは」参照)が認められれば、破産管財人の処分の対象となった退職金も、他の財産と合わせて総額99万円まで手元に残すことができます。
自己破産をした場合の退職金の取扱いは、破産者の状況や支給見込額によって異なります。
当事務所にご連絡いただければ、相談者様ごとの個別の事情を踏まえてご相談に乗らせていただきます。
司法書士 永野昌秀