【相続/Q16】居住用不動産の贈与等を受けた配偶者の相続額は民法の改正によりどのように変わるのでしょうか?
居住用不動産の贈与等を受けた配偶者の相続額は民法の改正によりどのように変わるのでしょうか?
(特別受益の改正点についてはQ15を参照して下さい)
【具体例】
被相続人A、配偶者B、子C、子D
相続財産として、預貯金6000万円、居住用不動産3000万円
生前に配偶者B(婚姻期間20年以上)へ居住用不動産が
贈与されていた場合で計算してみましょう。
法定相続人は配偶者Bと子C、Dの3名で、その法定相続分は
配偶者B 4分の2、子C、D各4分の1ずつです。
(1) 旧民法の規定による計算
(2) 改正民法の規定による計算
を比較してみましょう。
(1) の場合
居住用不動産も相続財産とみなされるので、相続財産は
6000万円(預貯金)+3000万円(居住用不動産)=9000万円です。
配偶者B 9000万円×2/4=4500万円
ここから、贈与等で受けた居住用不動産の価額を差し引くと、
4500万円-3000万円=1500万円
Bは預貯金から1500万円しか取得できないことになります。
子C、D 9000万円×1/4=2250万円
(2) の場合
居住用不動産を相続財産に含めない、という被相続人の意思表示が推定され、
相続財産は預貯金6000万円のみとなります。
配偶者B 6000万円×2/4=3000万円
子C、D 6000万円×1/4=1500万円
改正民法により、居住用不動産の贈与等を受けた配偶者Bは、特別受益の持戻し計算が
不要となるため、(1)より多くの財産を取得することができます。
※税金については、相続税、贈与税についての計算が必要になりますので、
税理士等の専門家に相談することが必要です。