Aさんは自己破産を検討していますが、自己破産をすると家族の財産(預貯金)も処分されてしまうのではないか心配しています。
Aさんが自己破産をした場合、家族の財産(預貯金)も処分されてしまうのでしょうか。
原則としてAさん名義以外の財産が処分されることはありません。
自己破産は、債務者(Aさん)と債権者との間の清算手続きです。
破産手続で手放すこととなるのは、原則として自己破産を申立てた本人名義の財産です。
Aさんが自己破産をしたとしても、家族の財産には影響はありません。
家族名義の預貯金については注意が必要です。
破産者(Aさん)が家族(妻・子ども)の名義で口座をつくっていた場合、これをAさんの財産とするのか、名義どおり家族の財産とするのかが問題になることがあります。
その場合は「名義ではなく、出捐者(しゅつえんしゃ)を預金者と判断する」とされた判例があります。(最判昭和48年3月27日民集27巻2号376頁)
出捐者とは、その預金をするためにお金を出した人のことです。
Aさんが将来的な学費などを目的として子ども名義で預貯金口座を作成し、そこに定期的に送金していたなどの場合は、子ども名義の口座であってもAさんの財産と判断され、処分される可能性があります。
ご家族の財産のうち破産者の財産に含まれるものがあるかどうかの判断は、その後の免責手続きにも影響を与える可能性があるため、慎重に行う必要があります。
自己破産をすることで、ご家族の財産に与える影響について気になる方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
司法書士 永野昌秀