Aさんは離婚した相手から「自己破産するから養育費はもう支払えない」と言われました。
Aさんも働いていますが、余裕はなく、突然支払えないと言われても困ってしまいます。
Aさんの子の親権者はAさんです。
親権者でない相手が自己破産をした場合には養育費の支払いを受けることはできなくなるのでしょうか。
相手が自己破産したとしても養育費の支払い義務がなくなることはありません。
親は、自分の子どもに対して、扶養義務を負っています(民法第877条第1項)。離婚によって親権を失ったとしても、相手が子どもの親であることに変わりはないため、法律上の扶養義務を継続して負うことになります。
養育費は、自己破産をして免責許可が確定しても支払い義務が免除されない「非免責債権」にあたります。(破産法第253条第1項4号ハ)
現実的に回収できるかどうかという問題は残ります。
相手が自己破産をすれば、今まで返済に回していた分だけ生活費に余裕ができる可能性はあります。
相手に収入があれば、破産手続き開始決定後に取得した財産は、相手が自由に処分できる財産となるため、相手との話し合いや、給与などが入ってくる銀行口座を差し押さえることによって、養育費を回収できる可能性はあります(養育費の場合は、最大で手取り額の2分の1までの差押えが認められます。)。
しかし、相手方が経済的に困窮し、資力がほとんどない場合には、現実的に養育費の支払いを受けることは困難になるでしょう。
こうした場合、離婚後に受給できる公的給付を利用することも可能です。
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司法書士 永野昌秀