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身寄りのない成年被後見人の入院・死亡 5


 
前回からの続きです。
過去の記事はカテゴリー「仕事」からどうぞ。
 
 
病院で亡くなると、すぐに葬儀屋等を手配して
ご遺体を引き取らなくてはならなくなる。
 
 
本来は成年後見人は本人(成年被後見人)
の死亡により当然に終了し、成年後見人は
原則として法定代理権等の権限を喪失する
(民法第111条第1項、653条第1号)
 
 
葬儀等の手配など、死後の手続きは相続人に
バトンタッチして、成年後見人は相続人に財産等を
引き渡すための清算手続きを行う。
 
 
しかし、Aさんの事例のように、
相続人がいない等の理由により
実務では成年後見人が死後事務も行わざるを
得ない場合があった。
 
 
そこで、
 
 
成年後見の事務の円滑化を図るための民法
及び家事事件手続法の一部を改正する法律
が平成28年10月13日に施行され、
成年後見人に死後事務の権限が付与された。
死後事務とは遺体引き取り、火葬、生前にかかった
医療費・施設費等の支払いなどを行うことである。
 

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00196.html#08

 
 
まさかこんなに早くAさんが亡くなるとは
考えていなかったため葬儀屋の手配もできておらず、
病院の談話室で病院から手渡された地域の葬儀屋リスト
と格闘することになる。
正直Aさんが亡くなって悲しいと嘆いている暇はない。
 
 

葬儀屋さんを決め、Aさんの関係各所に連絡をし、
葬儀の段取りを決め(Aさんは葬儀を行わなかったが
出棺前のお別れの儀式と納骨の際にお経を上げていただいた)
菩提寺に連絡を入れ日取りを決めた。(注1)
 
 

火葬をするには、
市役所にて火葬の許可をもらわなくてはならない。
通常、医師より死亡診断書を受け取り、葬儀屋さんが
火葬許可を代行して取得してくれることになるが、
成年後見人が届出人となるためには、
家庭裁判所で火葬許可を得てから、
市役所に提出しなくてはいけない。
 
 
急いで起案して、家庭裁判所に火葬許可を申し立てる。
許可が出ないと、この後の段取りができない。
裁判所に「いつぐらいに火葬許可が出るか」問い合わせるも
裁判官次第でいつとははっきり答えられないと言われる。(注2)
 
 
葬儀屋さんからは火葬の段取りを
どうしたらいいのか尋ねられる。
遺体を葬儀屋さんに移したものの、火葬の日付が遅れれば
その分、遺体保管料金が追加されていく。
そしてAさんはお金がない。
本来は翌日に火葬が好ましいものの、火葬許可がいつ出るか
わからないので、万が一間に合わないと困ってしまう
 
 

結局3日後に火葬をすることにした。
 
 
つづく
 
 

(注1)成年後見人は葬儀を執り行う権限はありません。
今回はAさんが生前に菩提寺に永代供養を手配してあったため
関係者の方に日程のご連絡をしました。
 

(注2)結果としては火葬許可は当日に取得できました。

 

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