Aさんは8社から約900万円の借金があり、現在自己破産を検討しています。
現在は持ち家に住んでいますが、自己破産をして家を処分された場合には賃貸物件に引っ越そうと思っています。
自己破産をした場合に賃貸契約にはどのような影響がありますか。
自己破産後に新たな賃貸契約を結ぶことは可能です。
賃貸契約を申し込むと入居のための審査があります。
大家さんや管理会社の審査では、信用情報が照会されることはありませんので、家賃の支払い能力があれば一般的には審査に通ります。
また、年収が低い、勤続年数が短いといった場合でも、しっかりした連帯保証人を立てれば審査の際に問題になることは少ないと思います。
連帯保証人が立てられない場合でも、家賃保証会社による審査を受けて賃貸契約を結ぶことが可能です。
家賃保証会社による審査での注意点
家賃保証会社による入居審査でも、連帯保証人を立てた場合と同じように支払能力の有無がチェックされます。
家賃保証会社は、賃貸契約を申込んだ人に支払能力があるかどうかをチェックする基準を持っています。
① 信用情報機関に加盟している家賃保証会社の場合
信販会社系の家賃保証会社は信用情報機関に加盟しているため、信用情報機関に登録された個人の信用情報を照会します。自己破産をした場合、信用情報機関に自己破産をしたという記録が5~7年間残るため、Aさんに安定収入があっても過去の記録から支払能力に疑問が持たれ、入居審査を通る可能性は低いと言えるでしょう。
② 家賃滞納記録を共有している家賃保証会社の場合
家賃保証を主な業務としていて、独自の審査基準を持つ保証会社があります。
この場合、家賃保証会社から信用情報機関への照会がされることはないため、入居審査に通る可能性は十分にありますが、家賃の支払いのリスクを保証するために、入居時の保証料や更新時の更新料など費用の負担が大きいと言われています。
自己破産後に賃貸物件の審査が通るか否かを、個人が判断するのは難しいと思います。
物件探しの際に自己破産をしたことを申告する必要はありませんが、場合によっては不動産会社に事情を説明して、審査に通りやすい物件を紹介してもらうのも良いと思います。
司法書士 永野昌秀