みなさん、こんにちは。司法書士の岡村です。
ようやく暖かくなってきましたね。これから駿府城公園付近は、桜とお祭りでにぎやかになります。
さて、今日は身近な契約に関するお話です。
学生の頃、こんな場面がありませんでしたか?
A「ちょっと、消しゴム貸してくれない?」
B「いいけど、使い終わったらすぐ返してね。」
A「わかったよ。」
何気ない日常のやりとりですが、実はこれも契約です。法律用語では「使用貸借」といい、民法第593条に次のとおり規定があります。
「使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。」
少し難しいですが、上の例でいうと、「当事者の一方」とはBさん、「相手方」とはAさんです。Bさんの「消しゴムを貸す」という約束とAさんの「使ったら返す」という約束により、使用貸借契約が成立した、ということになります。
ところで、条文中に「契約が終了したときに返還をする」とありますが、いつ契約は終了するのでしょうか。それは民法の別の条文(第597条)に規定があります。
1.期間を定めたときは期間満了時
2.期間を定めず、使用収益の目的を定めたときは、その目的 に従った使用収益を終えた時
3.借主が死亡した時
上の例には、2.が当てはまるでしょう。
今回の場合、Aの使用目的が言葉として発されているわけではありません。
しかし、通常、消しゴムを借りるときは、Aが書き損じた字を消すことが目的であるとAもBも認識しているものと考えられます。よってAがその目的を達成した時に、借りた消しゴムをBに返す義務が発生することになります。
なお、借りるときに賃料を支払う約束になっている場合には、「賃貸借」という別の契約になります。「賃貸借契約」の方が、みなさん聞き馴染みがあるかもしれませんね。
法律には、日常のさまざまな行為について規定があります。
難しい法律も、日常に当てはめてみるとおもしろいですね。
司法書士 岡村浅黄