【相続/Q36】相続財産の口座が凍結されてしまったら?
父が亡くなり、相続財産から葬儀費用を引き出そうとしたら口座が凍結されてしまいました。
引き出すには相続人全員の承認が必要ですか?
一定の金額までは、同意なく引き出すことができます。
以前は、早急な預貯金の引き出しが必要な場合でも、
原則相続人全員の同意が必要でしたが、令和1年7月1日に施行された
「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」において、
遺産分割前の仮払いを認める制度が新設されました。
これにより、葬儀費用や必要生計費等、
早急に預貯金の払戻しを受けたいというニーズに
応えることができるようになりました。
払戻しには家庭裁判所の手続きは不要で、
相続人のうちの1人が単独で払戻しができるかわりに、
その額に制限を設けています。
その制限とは、新設された第909条の2に定めがあり、
① 相続開始時の預貯金債権×1/3×法定相続分
② 法務省令で定める額(150万円)
とされています。
なお、この限度額は金融機関ごとの上限であり、
他の金融機関にも口座があれば、そちらの預貯金についても
計算した上限額まで払戻しが可能です。