【成年後見/Q10】一人株主のオーナー社長が突然倒れてしまいました。会社はどうしたらいいでしょうか。
Question
父は小さな株式会社を経営しています。
父のみが取締役でほかに役員はいません。株式もすべて父が保有しています。
先日父が急に倒れてしまいました。
幸い一命を取り留めたものの、脳に障害が残り判断能力がなくなってしまいました。
会社は今後どうしたらよいでしょうか。
Answer
成年後見人を選任し、速やかに会社の取締役を変更する必要があります。
危機管理としてこういう状況になる前に株式を見直しましょう。
一人オーナー社長の会社は多く見られますが、
オーナー社長の身に何か起こってしまった場合には
すべての会社機能がストップしてしまうというリスクが伴います。
仮に亡くなってしまった場合には、相続が発生し、
株主としての権利義務は相続人に承継されますが、
今回のケースでは相続は発生しませんので、
オーナー社長であるお父様に株主の権利義務は残ったまま
になってしまいます。
唯一の株主に判断能力がなくなると、
株主総会を開催することができなくなってしまいますので、
取締役等の選任もその他会社の重要な決議もすべてできなくなってしまいます。
また取締役もお父様一人だけだとなると
実質的にすべての会社機能が止まってしまうことになります。
今回のケースではお父様に成年後見人を選任し、
株主総会を開催して速やかに新しい取締役を選任する
必要があります。
成年被後見人になると取締役の欠格事由に該当し、
お父様は取締役から退任することになります。
成年後見人が選任されるまで、平均して2カ月程度
時間がかかりますので、この間会社の機能は停止してしまいます。
この文章を読んでどきっとした一人オーナー社長のみなさま、
危機管理として「ヒーロー株」の活用 を
検討してみてはいかがでしょうか。
例えば、オーナー社長が一株だけを信頼できる第三者にあらかじめ譲っておきます。
そしてその一株を、オーナー社長が認知症になるなど
株主として株主総会で議決権を行使できない状態になることを条件として
議決権が激増するVIP株(ヒーロー株)にします。
これにより、今回のようなケースになったとしても、
ヒーロー株の議決権が激増するため、その株主が株主総会を
取り仕切ることができ、会社機能が停止に陥らずに済むことになります。